特集 脊椎の炎症性疾患
総括
非結核性炎症の診断の部
小野村 敏信
1
Toshinobu ONOMURA
1
1大阪医科大学整形外科学教室
pp.405-406
発行日 1978年4月25日
Published Date 1978/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905706
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種々の要因によつて疾患の病態や発生率が変化し,また疾患それ自体に関する研究も進歩し,次々と多くの新しい検査法が導入されることなどによつて,疾病の鑑別診断が複雑化しつつあるのは一般的な傾向であると思われる.今回の脊椎研究会でも鑑別診断が繰返しとりあげられたが,筆者が司会を担当した「非結核性脊椎疾患,診断の部」(演題,発表者,別掲)について内容を簡単に紹介し診断上の問題点をまとめてみたい.
先ず下出氏は最近経験した脊椎炎32例中の化膿性脊椎炎14例について述べ,本疾患が決して稀ではないこと,また亜急性ないし慢性の発症がその80%を占め,従来成書に記載されていた病態と異なる例の多いことを強調した.急性発症でない場合には当然結核性脊椎炎との鑑別が重要になるが,臨床症状やレ線検査等からは鑑別は困難なことが多く,経時的な観察が必要であり,適切な診断のためにはbiopsyが必要であると述べた.紫藤氏の発表は頸椎および上位胸椎にみられたカリエス2例,化膿性脊椎炎2例の転移性脊椎腫瘍7例を中心にこの部位における炎症性疾患と癌転移との鑑別に関するものである.
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