紹介
Judet-Letournelの「寛骨臼骨折の分類とそのメカニズム」
弓削 大四郎
1
Daishiro YUGUE
1
1山口県立中央病院整形外科
pp.868-876
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905588
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はじめに
骨盤骨折は従来産業災害によるものが多く,従つて壮年男子にみられたが,近年自動車の普及に伴う交通事故の激増によつて受傷原因の首位を占めるようになり,すつかり西欧型に変つた観がある.
わが国においては,この骨折の治療は保存的なものが主流であつて,観血的整復による骨接合術をとつている病院は少ないように思われる.骨盤環の骨折は強力な外力が作用して腹部臓器の損傷,外傷性ショックを生じ,時に生死に至る重篤なものであるが,骨折の治療そのものは保存的にやつてもいい結果がえられるのはよく知られている.骨盤骨折のなかで整形外科医にとつて治療上最も重要な位置を占めるのは,股関節脱臼を伴う寛骨臼(以下臼と略する)の骨折であろう.骨頭の外傷性壊死,臼の損傷による外傷性股関節症の発症がその予後を暗いものにするからである.
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