追悼
Prof. Franz Schedeの苦闘の生涯
天児 民和
1
1九州大学
pp.626-627
発行日 1976年7月25日
Published Date 1976/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905372
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私は整形外科医として修練をしている間に多くの先輩にお世話になつたが,日本では神中教授,ドイツではFranz Schede教授の影響を一番受けていると思う.神中先生はドイツ的な古典的整形外科の殻を破られた先生であるが,Schede教授は正反対にあくまでもドイツ的な古典的な整形外科の伝統を守ろうとして一生を貫いた先生である.そのFranz Schede教授が本年2月16日亡くなられた.先生は1882年6月9日のお生れであるので本年で94歳になられるはずである.大変に御長命でよかつたと申し上げたいがこの94年の一生は決して生やさしいものではなかつた.今,先生の歩まれた道をふりかえつてみようと思うが,すでに私は昭和30年「外科」17巻,551頁に「Franz Schede教授の歩んだ路」という1文を掲載している.これは先生が70歳(1952)の日本流でいうと古稀のお祝いの席上で話された原稿を頂戴し,それを私が日本語に飜訳したものである.それからすでに24年の歳月が流れた.先生の御長命であつたことがこれでも分る.
先生の家系は非常に古くてSchede教授の自叙伝"Rückblick und Ausblick"には御自分の家系について詳しく書いておられる.少年時代のことは省略をしよう.
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