臨床経験
尺骨神経麻痺を伴う上腕骨内側上顆形成不全症の1例
塚田 忠行
1
,
司馬 正邦
1
Tadayuki TSUKATA
1
,
Masakuni SHIBA
1
1東芝中央病院整形外科
pp.831-833
発行日 1975年9月25日
Published Date 1975/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905245
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棈松ら1)は上腕骨尺側顆形成不全というきわめてまれな変形に,尺骨神経麻癖を伴つた3症例を経験し ①内側顆形成不全はMead4)のニグロの家系にみた滑車部無形成症の報告があるにすぎないこと ②外傷の既往がなく両側対称的変形であること ③松本市郊外の同一地区にみられたこと,以上3つの特徴と,尺骨神経麻痺の発生原因を上腕骨滑車部形成不全に伴つて尺骨神経溝の形成不全を生じ,さらに軟部支持組織の異常も加わり,尺骨神経の走行異常をきたし,その遠位部で円同内筋による圧迫という結果を招き,習慣性尺骨神経脱臼と同一機序でfriction neuritisを起こしたものと考察した.最近我々も同様の症例を経験したので報告する.日本の脊髄損傷専門病院の将来のあり方,脊髄損傷のリハビリテーションの方向が,現状のままでよいか否かは大いに疑問のある所である.
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