臨床経験
小児の脱臼を伴う距骨頸部骨折の2症例
鳥巣 岳彦
1
,
加茂 洋志
1
,
大江 浩
1
,
野村 茂治
1
Takehiko TORISU
1
1九州労災病院整形外科
pp.171-179
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905142
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はじめに
距骨の脱臼骨折は稀な骨折であり,しかも予後の厳しい骨折である.新鮮な距骨の脱臼骨折に直面した時まず我々の脳裡にひらめくのは,骨体部の無腐性壊死の問題である.諸家の今までの報告では距骨頸部の高度な脱臼骨折では治療のいかんを問わず,およそ90%に骨体部の無腐性壊死を起しているからである,距骨の脱臼骨折の治療として,何が一番適切な初期的処置なのか.受傷時に骨体部の運命はすでに決つており,愛護的で解剖学的整復を行なうことも無駄であろうか.
血行改善を期し,初期治療の時点で骨移植を行なうとか踵骨との固定をすべきなのであろうか.いずれ無腐性壊死を起こす運命にあるのならば,早目に距骨摘出術を行なうのが得策なのか.
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