カラーシリーズ 整形外科手術・5
Dwyer法
大谷 清
1
1国立療養所村山病院整形外科
pp.958-961
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905106
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1964年Allan F. Dwyerは前方椎体侵襲により彼独自の考案による矯正器具と椎体固定具を用いて側彎症にたいする矯正固定を試みた.以来,10年を経過した今日,その方法はやっと完成され,いわゆるDwyer法として今や脚光を浴びてきた.そもそも,側彎症に関しては,未だ解明されなければならない多くの問題を残しているが,本症のもたらす脊柱の形態学的変化は主として椎体にあり,椎体に侵襲を加えて変形を矯正することは合理的であり,妥当である.Dwyer法の利点はこの点にある.
本法の利点は,①矯正固定が確実であること.②椎体の捻転矯正も可能であり,いわゆるrib humpも矯正できる.③固定範囲は比較的狭く,major curve範囲内であり,double major curvesの例は可橈性の悪い方の彎曲のみの固定で,両彎曲とも可橈性の良好なときは下位彎曲のみの固定でよい.④移植骨は少量でたりる.⑤手術侵襲は比較的軽い.⑥術後の臥床期間は短期間で,約2週間である.⑦外固定期間も短期で,約3か月である.⑧矯正喪失が少い等である.一方,本法の短所は何といっても技術的に難しく,脊椎外科技術の習熟が欠かせない.本法の最もよい適応部位は胸腰移行部であり,上位胸椎にかかる側彎にたいしては術野が狭く,操作がやりにくく本法の適応とならない.本法適応の上界は第5胸椎である.
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