臨床経験
Paraplegia患者における"Mass reflex"の1例
糸満 盛憲
1
Moritoshi ITOMAN
1
1北里大学医学部整形外科学教室
pp.623-628
発行日 1974年7月25日
Published Date 1974/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905024
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はじめに
脊髄疾患,なかんずく脊髄損傷等による脊髄完全横断障害の患者は,最初の脊髄のdamageに引き続いて,麻酔や神経外科的,整形外科的,泌尿器科的検査および手術,難治性褥創の治療,リハビリテーションにおける排尿排便の訓練等数多くの身体的侵襲を受ける.中でも高位胸髄レベル,頸髄レベルにおけるparaplegia,quadriplegiaにおいては,下位の脊髄損傷の持つhandicapに加えて5,4,17),さらに危険を伴うものである.そのもつとも危険な反射にMass reflexがある.これは1917年Riddoch & Headによつて概念が確立された広範な自律神経反射であり,autonomic hyperreflexiaとも呼ばれる7,12).わが国でも一部では頸髄損傷の尿路管理に伴う危険な反射として注目されているようであるが,整形外科領域ではほとんど言及されていない.最近mass reflexの一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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