論述
屈筋腱断裂再建後の腱剥離について
前田 敬三
1
,
三浦 隆行
1
,
中村 蓼吾
1
Keizo MAEDA
1
1名古屋大学分院整形外科
pp.731-737
発行日 1973年9月25日
Published Date 1973/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904883
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腱損傷の再建は,多くの人々の努力により優れた成績が得られるようになつてきたが,現在でもなお手の外科における重要なテーマの一つであり,解決されなければならない問題を多く含んでいる.
腱再建術後,予想外の癒着のために不満足な結果を残す症例にしばしば遭遇する.腱断裂修復後の癒着が問題となるのは主として屈筋腱であるが,癒着が著しくて滑動性の悪い場合に行なう腱剥離は,手の外科を扱う私たちにとつては便利な,救いとなる方法である.しかし,同時に安易に行なうことは注意しなければならない手術でもある.経験年数が乏しく,少数例に過ぎないが,今までに私たちの行なった症例をふり返ることは意義のあることと考え,この問題を中心にして現在の私たちの考えと方針を述べてみたい.
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