シンポジウム 膝の人工関節
Shiers型人工膝関節の経験
鳥巣 岳彦
1
,
里村 知宣
1
Takehiko TORISU
1
1九州労災病院整形外科
pp.824-829
発行日 1972年10月25日
Published Date 1972/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904751
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はじめに
膝関節の高度の可動障害に対して,古くから用いられた術式は関節の固定と関節形成術であつた.特に膝関節形成術に関しては,九大整形外科は過去においては伝統的な地位を占めていた.即ち創設者住田教授がPayrの術式をさらに改善し,すばらしい成績を挙げたし,神中教授は河野教授と組んでJK膜を創案し,幾多の優れた業績を発表している.また天児教授もその伝統を受け,神中,住田両術式を巧みに利用して,良い成績を発表している.しかしこれらの対象になつた患者は抗生物質の未開発の時代に多発した淋病性関節炎による関節強直,また急性化膿性関節炎による強直,その他であつて,それらがこの手術の最も効果を発揮し得るものであつた.
このような手術には次の条件が必要である.まず膝関節を動かす筋肉,特に四頭筋に瘢痕がなく,大腿骨との問の癒着がないことが必要である.第2に関節面の破壊が高度のものは,この術式は用いられない.骨性強直は必ずしも悪条件ではなく,筋肉の癒着がない場合には骨性強直でも好成績を収めている.
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