論述
股関節内肝油注入法によるペルテス病の治療経験
辻 成人
1
,
大橋 光伸
1
Narito TSUJI
1
,
Kosin OHASHI
1
1石川整肢学園小児整形外科センター
pp.284-292
発行日 1972年4月25日
Published Date 1972/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904671
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はしがき
ペルテス病の経過がきわめて遷延性で,かつその治療方法が多種多様なことは衆知のところである.保存的,手術的に種々の治療方法が考案されているが,いずれも決定的なものではない.これは,現在ペルテス病の原因として,大腿骨頭部の軟骨骨化障害を伴う体質素因性論や,外傷などに由来する血行障害説あるいは関節滑液膜炎との関連性などのきわめて多元的病因論が主張されており,いまだ決定的なものがないことからも理解できる.
さらにペルテス病の予後は,骨頭変形による将来の変形性股関節症発生の頻度が比較的に高く,諸家2,5,17,18)の報告でも約20〜60%といわれている.その経過も諸家2,5,6,7)により多少の差は認められるものの,いずれもきわめて長期間を要し,これは患児のみならず,父兄にとつて並々ならぬ苦痛を強いていることは否定できない.このように小児股関節疾患としては,先天股脱とともに臨床的な意義が大きい.
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