論述
Elastofibroma dorsiについて
遠城寺 宗知
1
,
坂江 清弘
2
Munetomo ENJOJI
1
,
Kiyohiro SAKAE
2
1九州大学医学部病理学教室
2鹿児島大学医学部第二病理学教室
pp.293-300
発行日 1972年4月25日
Published Date 1972/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904672
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はじめに
弾性線維腫(Elastofibroma)は1959年Järvi and Saxén8)によつて始めて記載された特異な腫瘍状病変で,増殖した境界不鮮明な線維組織より成り,組織学的に膠原線維束とともに均質好酸性の線維状あるいは球状物質を有し,該物質が弾性線維と同一の染色性および消化性を示すものである.文献上1,2の例外を除いて,すべて背部肩甲下部に生じており,普通病名にdorsiが付記される.
Järvi and saxënの提唱につづきstemmermann and Stout 196212),Delvaux and Lester 19654),Marston and Jonës 196511),Barr 19661)らの報告があるが,これらの記載に基づきEnjoji and Kikuchi5)は鹿児島大学において病理組織検査された外科的材料を再検査して1例の同病変を見出し,1968年本邦第1例として報告した.それ以後も報告が相次ぎ,2)3)7)10)14)15)16) Järvi,Saxén,Hopsu-Havu,Wartiovaara and Vaissalo 19689)が諸外国の当時までの報告例および知りえたものに氏らの自家例13例を加えて42例の確認例をえている.私どもも鹿児島大学において,前記報告例のほかに1970年までに2例6),その後さらに4例を経験し,わが国では安田ら197017)と田中ら197113)が各1例あてを報告している.
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