視座
全人工股関節の発展
伊藤 鉄夫
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.175
発行日 1972年3月25日
Published Date 1972/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904657
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関節形成術には癒着防止膜が用いられるが,1938年6月,Smith-Petersenは股関節形成術に中間挿入物として最初に金属cup(chrome-cobalt合金-Vitallium)を用いた.この手術は画期的な意義をもつているが,成績はまだ十分満足すべきものではなかつた.これに引き続いて,当然のことではあるが,骨頭を全部金属で置換する方法が考えられた.人工骨頭を本格的に臨床に応用したのはMooreとBohlmanである.最初の1例は1942年に報告され,翌年J. Bone and Joint Surg.,25:688,1943にMetal Hip Joint. A Case Reportとして発表された.この例は大腿骨上端の巨細胞腫で,はじめに腫瘍切際と骨移植を行なったが,再発を来たしたためchrome-cobalt骨頭を使用して成功した.Judet兄弟がacrylic prosthesisの使用を開始したのは,1946年で,ずつと後のことである.Mooreのself-locking Prosthesisは優秀で,大腿骨頸部内側骨折に対して盛んに用いられるようになつた.
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