臨床経験
骨髄炎の病勢と臨床検査所見との関係について
伊藤 英弘
1
,
黒川 高秀
1
,
大井 淑雄
1
,
中村 隆一
1
,
林 浩一郎
1
,
高橋 定雄
2
,
鈴木 勝己
2
,
南条 文昭
3
Hidehiro ITO
1
1東京大学医学部整形外科
2関東労災病院整形外科
3虎の門病院整形外科
pp.481-486
発行日 1970年6月25日
Published Date 1970/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904418
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骨髄炎の治療は,今日なお整形外科領域の大きな課題となつているが,それを適確に行なうためには,その病勢を正しく把握することが大切である.元来,骨髄炎がひとたび慢性化すると,予後の判定は,かなり困難となるが,抗生物質普及後の骨髄炎の病像の変化はこの問題を一層複雑にしていると思われる.
通常,病勢の判定の手段として,局所所見とともにレ線所見,臨床検査所見が参考とされているが,今回,われわれはこれらのうち,局所所見と日常もちいられている臨床検査の所見との間にどのような関係があるかを調査,検討してみた.とりあげた臨床検査の種類は,赤沈値,白血球数,CRP,ASLO値,血清総蛋白量,赤血球数,ヘマトクリット値などであり,これらの検査成績が骨髄炎の各病期によつてどのような傾向を示すかを調査して,その診断的意義を検討するとともに,局所所見とそれに対する全身反応との関係の一端を考察してみた.
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