臨床経験
A. H. G.製剤使用下に行なえる血友病性筋肉血腫の手術経験
伊藤 雅敏
1
,
大島 幸吉郎
1
,
呉 盛光
1
,
牛尾 智彦
1
,
永井 隆
1
,
藤巻 道夫
2
,
安井 武義
2
Masatoshi ITOH
1
1東京医科大学整形外科学教室
2東京医科大学臨床病理学教室
pp.399-404
発行日 1970年5月25日
Published Date 1970/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904403
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近年血液凝固に関する研究が進み,血液凝固機序の解明にともなつて,血友病の病型分類が行なわれ,その結果,治療法として血友病Aに対してはA. H. G.(anti hemophilic globulin,抗血友病性グロブリン)による系統的治療が行なえるようになった.それにともない血友病A患者の内臓手術,骨折,軟部血腫摘出等の手術も比較的安全に行ない得るようになった.
最近我々は左大腿内転筋部および左殿筋部に巨大な血腫を形成した血友病Aの2症例を経験した.しかも同血腫は増大傾向を認め,破綻性大出血のおそれがあつたため当院臨床病理学教室の協力を得て,A. H. G.製剤と新鮮輸血の点滴静注のもとに手術を行なつたので,その経験を参照してA. H. G.製剤使用下における血友病A患者に対する手術侵襲の問題点について述べてみたい.
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