臨床経験
胸椎椎体血管腫の全剔治験例
福田 宏明
1
Hiroaki FUKUDA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.873-878
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904280
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脊椎に発生する血管腫はSchmorlの屍体検索によれば,約10%に発見されるといわれるが,臨床症状を呈してわれわれの目に触れるものは極めて稀とされている.従来,症状を呈した脊椎血管腫に対する治療は,レ線照射,除圧手術などすべて姑息的であり,出血のため病巣に直達して根治手術を行なうことは不可能とされていた。最近,私は進行性の脊髄圧迫症状を呈した第10胸椎椎体血管腫の開胸,前方侵襲による全剔の治験を得たので報告する.脊椎外科の日進月歩する今日,たとえ進行性脊髄圧迫症状を呈するものであつても,良性であるはずの椎体血管腫には病巣にメスを加えることが合理的と考えたゆえんである.諸家の御批判を仰ぎたい.
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