臨床経験
中足指節関節脱臼の1例
佐口 享史
1
,
遠藤 正弘
1
,
田中 秀昭
1
,
久良木 孝晃
1
,
肥留川 道雄
1
Takashi SAGUCHI
1
1日本医科大学整形外科学教室
pp.560-564
発行日 1969年7月25日
Published Date 1969/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904102
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足指の骨折にくらべて,その脱臼は比較的稀であり,なかんずく中足骨のMP関節脱臼に至つては極めてすくなく,しかも,そのうち大部分が足母指のMP関節脱臼である.これについては,成書1)によればBaermannの30例,Garnierの40例が相並ぶ詳細な報告のようである.その他,Amat,ames,Gold,Schwarzschild,Madonらの少数の報告5)があるが,いずれも足母指の脱臼である.足母指を除く他の4指の脱臼については,その報告まことに少なく,1888年Styx2)の左第2中足骨MP関節脱臼の報告をもつて嚆矢とするようであり,以来,内外文献から渉猟し得た範囲では,僅か十数例を散見するにすぎない.
われわれは最近,多発外傷に伴つた左第2,第3,第4中足骨のMP関節脱臼の症例を経験し,これを観血的に整復して良結果を得たので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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