検査法
骨動態(Bone Dynamics)の組織学的検査法—第2次骨単位を中心として
高橋 栄明
1
Hideaki TAKAHASHI
1
1新潟大学医学部整形外科学教室
pp.391-401
発行日 1969年5月25日
Published Date 1969/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904079
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
個体の発生から死まで,人の体内では代謝が絶えず行なわれている.その中の組織の一つである骨にも,形成と吸収は常に起つている.その骨の動態を知るために,近年,多数の方法が開発されたが,Frostは組織学的な方法を考案した.彼はそれをstandard bone approach9)と呼んでいる.一定の骨を用いて,正常例と病的な骨を組織学的に比較検討することである.
標準の骨として,Frostは第5,6,7肋骨および第11肋骨を選んだ.著者は第5および第11肋骨を用いている.その理由は,①骨代謝性疾患の多くは,四肢骨より躯幹骨に症状をあらわす.例えば全身的な骨粗鬆症でも,患者の主訴は腰痛で脊椎骨粗鬆症がいちじるしい.②第11肋骨は,骨生検(bone biopsy)が施行しやすい.③呼吸運動により非活動性萎縮などの影響を受けることが少ない.④骨皮質の全岡について計測でき,samplingしやすい.胸骨に接続する上部肋骨中で,その断面が大きく測定しやすい点で第5肋骨を,また胸骨に接続していない下部肋骨中で,第12肋骨が時に痕跡的なので比較的に一定の長さのある第11肋骨を選んだ.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.