論述
膝内障に対する膝関節造影法と,関節鏡検査法との臨床的意義について
岡崎 博
1
Hiroshi OKAZAKI
1
1長崎大学医学部整形外科学教室
pp.1046-1054
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904013
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はじめに
文明が進み産業や交通が発達してくるにつれ,災害に起因する外傷性疾患の激増によつて,膝内障も年を追つて増加する傾向にある.膝内障とは,膝関節を構成する骨以外の靱帯,軟骨,半月板(メニスクス)などに障害を有する疾患で,半月板損傷,十字靱帯損傷,側副靱帯損傷のほかに,広くはHoffa病,関節遊離体,滑液嚢障害や離断性骨軟骨炎,Osteochondromatosis,Chondromalacia patellaeなどを含める場合もあるが,今回は主として,半月板損傷,十字靱帯損傷について言及する.
膝内障(Internal deràngement of the knee)という名称は1803年,William Heyの記載に始まるといわれるが,当時の発表によつても半月板障害が主体である.膝関節造影法が半月板障害の診断に用いられるようになつたのは,1905年Werndorff & Robinsonの空気造影法以来といわれるが,その後1931年にはBircherにより陰陽二重造影法が試みられ,以来,種々の考案工夫が報告されている.しかし一般に,いづれの方法によつても膝関節半月板障害の診断は必らずしも容易ではなく,また手術所見と造影所見との一致しない症例も稀ではない.
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