論述
骨巨細胞腫の治療
赤星 義彥
1
,
米沢 広
1
,
柴田 大法
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.669-681
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903812
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骨巨細胞腫には,良性から悪性に到る種々の段階があり,臨床像も症例によつてかなり異なるが,私どもが遭遇する巨細胞腫の85ないし90%は病理組織学的には良性と考えられる.しかし他の良性骨腫瘍と比較すれば,本腫瘍は骨の吸収破壊力がより強く,関節に近い骨端部を侵すため,機能的に完全治癒せしめることが難しい症例もかなりあり,また治療後の再発,局所悪性化あるいは肺転移を来す可能性を多分に有していることがその特徴と言えよう.
また,本腫瘍の10%前後は,組織学的にanaplasticな悪性所見を含んでいると言われているが,このような悪性巨細胞腫は,生命の予後と言う観点からみれば,原発性骨肉腫,Ewing肉腫のように肺転移あるいは広範な転移で急速に死亡するものは少なく,むしろ線維肉腫に準ずるlowgrade malignancyの部類に属すると考えられるが,このような症例では,切除および再建手術がいいかあるいは切断すべきか,慎重な考慮を必要とする.
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