Japanese
English
特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)
頭部の慣性荷重による頚部運動の連続X線写真による分析
X-Ray Study of the Human Neck Motion Due to Head Inertia Loading
松下 智康
1
,
佐藤 武
1
,
平林 洌
2
,
藤村 祥一
3
,
朝妻 孝仁
3
,
小柳 貴裕
3
,
高取 健彦
4
Tomoyasu Matsushita
1
1慶應義塾大学理工学研究科生体医工学専攻
2慶應義塾看護短期大学
3慶應義塾大学医学部整形外科
4東京大学医学部法医学教室
1Institute of Biomedical Engineering, Faculty of Science and Technology, Keio University
キーワード:
生体力学
,
biomechanics
,
X線
,
X-ray
,
X線シネ撮影
,
cineradiograph
,
頚椎
,
cervical spine
,
屈曲-伸展
,
extension-flexion
Keyword:
生体力学
,
biomechanics
,
X線
,
X-ray
,
X線シネ撮影
,
cineradiograph
,
頚椎
,
cervical spine
,
屈曲-伸展
,
extension-flexion
pp.521-527
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901617
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抄録:本稿では,低速衝突時に頭部の慣性荷重により頭頚部が受ける動的負荷のプロセスについて明らかにする.健常な成人26人を対象に,被験者を台車上シートに着座させ,振り子式の落錘を用いた加速衝撃による被験者の頭頚部の動的応答をX線シネで撮影し,フィルム解析を行った.その結果.低速度での被追突において,ヘッドレストレイントが装備されている限り,頚椎柱の運動は生理的可動範囲内にとどまる.通常の着座姿勢でも背中上部がシートバックから離れている円背または前かがみ姿勢の場合,頭頚部の後屈だけが起きるのではなく,後屈に先行して頚椎柱が直線化され前屈が生じる.同時に脊柱の突き上げにより頚椎に圧縮が作用し,頚椎長の短縮が生じる場合がある.他方,前面衝突においてシートベルト無しとシートベルト着用の場合とでは,頭頚部の動的応答は大きく異なる.シートベルト無しの状態では,頚椎柱の形状はほとんど変化しないが,シートベルト着用の場合,シートベルトにより胸部が拘束され,translationを主とする頚椎の前屈が生じる.
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