Japanese
English
特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)
脊椎悪性腫瘍に対する脊椎全摘術(Total en bloc Spondylectomy)―病巣高位と手術法(血管剥離について)
Total en bloc Spondylectomy for Malignant Vertebral Tumor ; Dissection of Major Vessels
川原 範夫
1
,
富田 勝郎
1
,
鳥畠 康充
1
,
滝野 哲也
1
,
池淵 公博
1
,
松井 貴至
1
,
藤田 拓也
1
,
水野 勝則
1
,
田中 重徳
2
Norio Kawahara
1
1金沢大学医学部整形外科
2金沢大学医学部第2解剖
1Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine
キーワード:
脊椎切除
,
spondylectomy
,
脊椎悪性腫瘍
,
malignant vertebral tumor
,
大血管
,
major vessels
,
分節動脈
,
segmental artery
Keyword:
脊椎切除
,
spondylectomy
,
脊椎悪性腫瘍
,
malignant vertebral tumor
,
大血管
,
major vessels
,
分節動脈
,
segmental artery
pp.449-455
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901608
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抄録:脊椎全摘術を後方単一アプローチで行う場合,椎体周囲の正確な解剖学的知識が必要となる.今回,解剖実習死体21体を用い,椎体周囲の血管系についての解剖学的観察を行うとともに,17例の脊椎全摘術の手術所見を検討した.実習死体の観察では,大動脈弓は,ほぼ第3胸椎(T3)高位に存在していた.下行性大動脈はT5椎体前面から椎体に近接し,椎体の左方を下行しL4高位で左右総腸骨動脈に分れていた.上位胸椎の分節動脈はT4高位以下の大動脈から分岐し,椎体の左右を上行するため,上位胸椎の椎体前面には存在しなかった.下大静脈は第3,4腰椎(L3,4)高位で椎体右側前方に近接していたが,L2高位で横隔膜右脚の前方に位置し,それ以上では前方に移行し椎体と離されていた.奇静脈は上大静脈に流入するため,T4,5を最後に椎体を離れていた.横隔膜脚はL2/3椎間板高位に起こっていたものが多かったが,その場合L2分節動脈は横隔膜脚と椎体との間に存在していた.
手術所見では,上位胸椎,中下位胸椎の椎体周囲の血管剥離は容易であった.腰椎では腰筋の剥離が必要であり,上位腰椎の場合は,横隔膜の慎重な剥離,分節動脈の処理が必要であった.また第4腰椎切除の際には,術野が深いため,用手剥離操作が困難であり,細心の注意を払いながら,脊椎用スパチュラによる血管剥離を行った.以上,第1胸椎から第4腰椎まで後方単一アプローチによる脊椎全摘術が可能であった.
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