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特集 椎間板―基礎と臨床(第22回日本脊椎外科学会より)
椎間板の酸素消費,乳酸産生および基質合成と組織酸素分圧
Effects of Oxygen Tension on Cell Metabolism and Matrix Synthesis in the Intervertebral Disc
石原 裕和
1
,
平野 典和
1
,
大島 博
1
,
辻 陽雄
1
,
Jill P. G. Urban
2
Hirokazu Ishihara
1
,
Jill P. G. Urban
2
1富山医科薬科大学医学部整形外科
2オックスフォード大学生理学研究所
1Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, Toyama Medical and Pharmaceutical University
2Physiology Laboratory, Oxford University
キーワード:
酸素
,
oxygen
,
椎間板
,
intervertebral disc
,
細胞代謝
,
cell metabolism
,
基質合成
,
matrix synthesis
Keyword:
酸素
,
oxygen
,
椎間板
,
intervertebral disc
,
細胞代謝
,
cell metabolism
,
基質合成
,
matrix synthesis
pp.357-361
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901335
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抄録:基質酸素分圧が椎間板細胞代謝に及ぼす影響を明らかにするため,培地中の酸素分圧を1%から21%まで変化させた時の牛尾椎椎間板,髄核,外層線維輪の酸素消費量,乳酸産生量およびプロテオグリカン,プロテイン合成能の変化を調べた.また嫌気性,好気性解糖の阻害剤を用いて,エネルギー産生系と基質合成についても検討した.培地の酸素分圧を1%から21%まで増加すると酸素消費量は指数関数的に増加し,逆に嫌気性代謝産物である乳酸産生量は1%から10%まで酸素分圧の上昇とともに急速に低下した.低酸素分圧においてはプロテオグリカン,プロテイン合成の低下が起った.エネルギー産生の面からは基質合成には嫌気性,好気性代謝ともに重要であり,特にプロテイン合成には好気性代謝が重要であった.酸素分圧の低下は好気性代謝から嫌気性代謝へと椎間板エネルギー産生系を変化させ,基質合成能の低下をもたらす.かくして,椎間板への酸素供給の低下は,椎間板変性の大きな一要因となる可能性がある.
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