視座
骨粗鬆症と整形外科
高橋 栄明
1
1新潟大学医学部整形外科
pp.109-110
発行日 1992年2月25日
Published Date 1992/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900775
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社会が高齢化してきた本邦では,骨粗鬆症が最近医学の世界のみならず,社会的にも注目されてきている.昭和20年代後半に始まった本邦における骨粗鬆症に対する研究は,日整会でも昭和39年に青池勇雄会長により,シンポジウムとして取り上げられた.このシンポジウムの内容は単行本として故三木威勇治東京大学名誉教授によって刊行されたが,その時三木名誉教授はその序文の中で次のように述べた.「わが国でも平均寿命が延長してきて,老人病が社会の注目を引くようになった.整形外科領域では,関節の変形性関節症と並んで骨粗霧症が主要な老人病である.」驚くべき先見性である.
さて,人の生涯で骨はどのように変わっていくのであろうか.骨量(bone mass)は,成長期に増加して,だいたい30歳代で最高に達し,この時をpeak bone mass(最大骨量)というが,それ以降徐々に減少していく.そして,特に女性では,閉経期に急速に減少して,あるいは老年期に達して骨折危険域に達し,大腿骨頸部骨折,脊椎圧迫骨折,Colles骨折などを起こすことが知られている.
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