認定医講座
四肢脈管疾患の診断と血管手術の基本
久保 良彦
1
1旭川医科大学第1外科
pp.1273-1279
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900222
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はじめに
近年,わが国において疾患の欧米化が注目されてきているが,脈管疾患でも脳・冠・四肢など,重要臓器動脈の硬化性変化による閉塞(閉塞性動脈硬化症arteriosclerosis obliterans以下ASO)の急増が目立っている.これにはわが国が長寿社会へ移行していることや,食生活の変化が大きく係わっていると考えられるが,特に下肢ASOの増加は,従来,末梢動脈の代表的閉塞疾患として馴染みの深かったビュルガー病(閉塞性血栓血管炎 thromboangitis obliterans 以下TAO)の症例をはるかに凌駕し,脈管疾患の構成を様変りさせている.
一方,血管外科における手術手技の向上も目覚しく,その成績は昔日の比でなくなっている.更に外科系各科領域では,単なる切除の外科から,修復や移植によって機能の温存あるいは回復を図る再建外科の時代に推移しており,外科手術と血管処理の係わりはいよいよ深くなって,血管の取り扱いに馴染む,あるいは血管外科的手法に通ずる必要性が増大している.
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