認定医講座
一般X線検査
西村 玄
1,2
,
藤岡 睦久
1,2
1獨協医科大学放射線科
2現在:清水市立病院放射線科
pp.603-614
発行日 1990年5月25日
Published Date 1990/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900105
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はじめに
診断で使用されるX線被曝で目に見える障害が生じることはまず考えられないが,逆に発癌や遺伝的影響については安全な閾値は存在しないとされている.すなわち,いかに少量の被曝でも癌や遺伝性疾患が生じる危険(確率の増加)があると考えねばならない.したがって,医師は患者,パラメディカルスタッフ,また医師自身をも不必要な被曝から守る義務がある.必要最少のX線検査が何かについて,十分に考える必要がある.X線透視は被曝が多くなりがちな検査なので,X線を十分に絞り,必要な部位のみをなるべく短時間観察するようにする,鉛グラスファイバーエプロンの着用はもちろんだが,甲状腺防護用のマフラー,水晶体防護の眼鏡の着用も必要である.最近は,軽量の鉛手袋も手に入るので,整復操作の際などには有用であろう.X線は距離の二乗に反比例して減弱するので,必要がなければ介護のパラメディカルスタッフや助手は,X線テーブルより距離をとるようにさせる.本稿で一般X線検査について簡単な原理,撮影法の臨床的意義,読影の際の注意点について述べる.当然であるが,医師の基本的事項についての知識が合理的な検査をもたらし,その結果X線被曝も減少させる.
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