増大号特集 整形外科 外来・当直 エマージェンシーマニュアル
疾患編
膝の症状を訴える患者のみかた
髙澤 祐治
1,2
,
西尾 啓史
1,2
Yuji TAKAZAWA
1,2
,
Hirofumi NISHIO
1,2
1順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツ医学
2順天堂大学医学部整形外科
pp.686-690
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202043
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膝関節は大腿骨,脛骨,膝蓋骨の3つの骨から構成され,軟部組織(半月,靱帯)によって支持されている関節である.また,大腿四頭筋は人体最大の筋であり,種子骨である膝蓋骨を介し膝蓋腱を経て脛骨粗面へ停止し,膝関節の伸展運動に対して大きな力を発揮する.
膝の痛みを訴える疾患では,膝関節周囲の解剖学的特徴を熟知し,その膝の痛みが何に起因しているのか,疼痛,腫脹,変形,可動域制限,関節不安定性,歩容などから正確に捉えることが重要となる(表1).また,膝関節の症状が全身疾患(関節リウマチ,神経・筋疾患,代謝性疾患,腫瘍性疾患など)に起因していることもある.さらに,膝関節周辺には,急性外傷(第2章外傷編 膝の項参照)のほか,ランニングやジャンプ動作などを繰り返し行うことによって生じる慢性障害(使いすぎ症候群:overuse syndrome)を生じることがある.問診,視診,触診,さらには様々な徒手検査から,原因となっている組織を判別し,診断に至る.
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