Japanese
English
Lecture
首下がり
Dropped Head Syndrome
豊根 知明
1
,
白旗 敏之
1
,
工藤 理史
1
,
松岡 彰
1
,
丸山 博史
1
,
石川 紘司
1
,
男澤 朝行
2
Tomoaki TOYONE
1
,
Toshiyuki SHIRAHATA
1
,
Yoshifumi KUDOH
1
,
Akira MATSUOKA
1
,
Hiroshi MARUYAMA
1
,
Koji ISHIKAWA
1
,
Tomoyuki OZAWA
2
1昭和大学整形外科学講座
2千葉労災病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Showa University
2Department of Orthopaedic Surgery, Chiba Rosai Hospital
pp.781-785
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200885
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はじめに
1986年,Langeら1)はfloppy head syndromeと称して,首下がり12例を報告した.首下がり(dropped head)とは,顎が前胸部に接触する“chin-on-chest deformity”を来す病態であり,前方注視困難となり日常生活にさまざまな支障を来す.頚部伸筋群の筋力低下が主因と考えられるが,前頚筋の過剰緊張も一因とされる.原因疾患は,運動ニューロン疾患・筋疾患・パーキンソン症候群なども含め多岐にわたる.診察においては,頚部筋以外の筋力低下,筋萎縮のほか,眼瞼下垂や錐体外路症状の有無などをチェックするが,疑わしい場合には神経内科にコンサルトし,その上で明確な原因のない首下がりとして整形外科が主治療科となることが多い.後弯変形がflexible(頚部後屈により改善)な症例においては,装具やリハビリテーションによる治療が優先され,筆者の経験ではその多くで症状の改善が得られる.変形がrigidな症例に対しては外科的な治療が考慮される.胸腰椎の成人脊柱変形に対する手術治療は,骨盤パラメータの解析と,それに基づくformulaの構築により,正確な術前のプランニングが可能となり,手術成績の向上と合併症の軽減が図られてきた.一方で,前方注視困難な首下がり症例に対する手術治療戦略はいまだ確立されているとは言えず,さらにデータを積み上げていく必要がある.
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