Japanese
English
Lecture
リンパ管腫症・ゴーハム病の診断と治療
Lymphangiomatosis and Gorham-Stout Disease : Diagnosis and Treatment
小関 道夫
1
,
藤野 明浩
2
,
黒田 達夫
2
,
濱田 健一郎
3
,
中村 直子
4
,
髙橋 正貴
5
,
松岡 健太郎
6
,
野坂 俊介
7
,
深尾 敏幸
1
Michio OZEKI
1
,
Akihiro FUJINO
2
,
Tatsuo KURODA
2
,
Kenichiro HAMADA
3
,
Naoko NAKAMURA
4
,
Masaki TAKAHASHI
5
,
Kentaro MATSUOKA
6
,
Shunsuke NOSAKA
7
,
Toshiyuki FUKAO
1
1岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学
2慶應義塾大学小児外科
3大阪大学大学院医学系研究科整形外科
4国立成育医療研究センター研究所生殖・細胞医療研究部
5国立成育医療研究センター外科
6国立成育医療研究センター病理診断部
7国立成育医療研究センター放射線診療部
1Department of Pediatrics, Graduate, Gifu University School of Medicine
キーワード:
リンパ管腫症
,
lymphangiomatosis
,
generalized lymphatic anomaly
,
ゴーハム病
,
Gorham-Stout disease
,
リンパ管奇形
,
lymphatic malformation
Keyword:
リンパ管腫症
,
lymphangiomatosis
,
generalized lymphatic anomaly
,
ゴーハム病
,
Gorham-Stout disease
,
リンパ管奇形
,
lymphatic malformation
pp.531-539
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200239
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はじめに
リンパ管腫症(lymphanghiomatosis,最近はgeneralized lymphatic anomalyと呼ばれる)は全身臓器にリンパ管組織が増殖する原因不明の希少性難治性疾患である.小児,若年者に多く発症し,症状は浸潤臓器によりさまざまだが,乳び胸など胸部病変を合併すると予後不良である.骨溶解や乳び腹水,脾臓浸潤,リンパ浮腫,血液凝固異常も起こす1).一方,ゴーハム病は1954年にGorhamとStoutら7)が最初にまとめた“disappearing bone”を特徴する疾患で,骨が溶解し,血管やリンパ管組織に置換する疾患である.1983年にHeffezら12)が提唱した診断基準(表1)では,内臓への浸潤はないとされているが12),乳び胸を伴う症例報告も多い.別々の疾患と考えられているにもかかわらず,臨床的にはリンパ管腫症と明確に区別ができないことが問題である17).
脈管奇形の主要な国際分類であるISSVA(International Society of the Study of Vascular Anomalies)分類が2014年にアップデートされ,これまでリンパ管奇形(lymphatic malformation)と一括りであったのが,細かく分類された3)(表2).近年,リンパ管に関する基礎的研究は大きく進歩してきているが,この2疾患については研究が進んでおらず,病態解明だけでなく,診断や治療法の確立が急務である.
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