視座
ビッグデータの時代と整形外科技術鍛錬
橋詰 博行
1
1笠岡第一病院
pp.507
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200232
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大量のデータ(大規模データ)を用いた医療施策が行われている.DPC,NCDやレセプトデータなどである.そして,医療現場でもこの大規模データ解析によるエビデンスに基づいた診療を捜し求めている.日本整形外科学会でも,教育研修施設からインターネットを介して集められた骨折や手術症例のデータが解析されている.一方,最近ではさまざまな分野でビッグデータの活用が始まっている.大規模データとビッグデータの違いは,一言で言えば構造化(全体像を見極め構成要素を整理すること)されているか否かである.
従来の臨床研究は,研究デザインを考え,仮説を立て,サンプルサイズを設計して統計学的に解析する.仮説が証明され,理論とその介入方法が出来上がればランダム化比較試験(RCT)などにより検証される.しかしながら,RCTが倫理的観点から外科手術に適さないこともある.一方,理論ができればその陰に多くの個々の結果が隠されてしまい,それは理論によって情報が劣化するとも言える.したがって理論どおりにすればそこから外れる例が出現し,一人ひとりを幸福にしようとする医療の世界に本当に適しているかということになる.
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