境界領域/知っておきたい
生活習慣病と骨折リスク
山内 美香
1
,
杉本 利嗣
1
1島根大学医学部内科学講座内科学第一
pp.442-445
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200210
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はじめに
生活習慣病と骨粗鬆症はいずれも加齢に伴い増加するため,両者が併存する例は多い.近年,両者は単に併存するだけでなく,その病態が相互に影響を及ぼすことが明らかとなってきている.骨粗鬆症性の骨折により日常生活動作(ADL)の低下を来し,生活習慣病の悪化が引き起こされる.逆に,2型糖尿病(DM)や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)といった生活習慣病が骨代謝に大きな影響を及ぼすことが明らかとなってきている3).DMをはじめとする生活習慣病でみられる酸化ストレスの亢進や,終末糖化産物(advanced glycation end products:AGEs)の蓄積,高ホモシステイン血症などは動脈硬化の促進にかかわるのみならず,骨代謝にも影響を及ぼし骨の脆弱化にかかわるとされる.
これまでに蓄積されたエビデンスや生活習慣病の骨折リスクの評価・管理などについて概説した「生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド」が日本骨粗鬆症学会により刊行されている6).そして,続発性骨粗鬆症のうち疾患関連性骨粗鬆症に,「生活習慣病関連骨粗鬆症」という新たな疾患概念が加えられた3).生活習慣病関連骨粗鬆症として確立されている原因疾患は,DMとステージG3以上のCKDであり,「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」でも取り上げられた3).さらに近年,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)においても骨折リスクが高まるとのエビデンスが集積しつつある.
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