最新基礎科学/知っておきたい
ホメオボックス遺伝子Mohawkと腱の発生
鬼塚 奈緒子
1,2
,
浅原 弘嗣
1,3
1国立成育医療研究センター研究所・システム発生・再生医学研究部
2慶應義塾大学医学部整形外科学教室
3東京医科歯科大学システム発生・再生医学分野
pp.632-634
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102392
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腱は筋肉と骨,あるいは筋腹と筋腹をつなぐことで,筋肉の力を骨格に伝達し体を動かすことを可能にする.腱とそれらを構成する細胞は,生物学的にも非常に興味深い対象であり,かつ医学的にも重要な組織であるにもかかわらず,ほかの間葉前駆細胞と比較すると腱の組織形成の分子機構に関してはほとんど解明されていない.腱は屈筋腱損傷,腱板断裂,アキレス腱断裂などに代表されるように,外傷や使いすぎ,加齢による変性によって障害を受けるが,腱の治癒能力は弱く完全に修復することは稀である.またエーラス・ダンロス症候群では1型コラーゲン遺伝子が変異しコラーゲンの生成に異常を生じることがわかっている.
近年,人工腱の作成や間葉系幹細胞を使用する再生医学の研究が盛んになるにつれて,腱に関する生化学についてのより深い理解が必要とされている3).
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