Japanese
English
解説
ホメオボックス遺伝子の機能
Role of the homeobox gene in morphogenesis
川上 泰彦
1
,
野地 澄晴
2
,
濃野 勉
1
Yasuhiko Kawakami
1
,
Sumihare Noji
2
,
Tsutomu Nohno
1
1川崎医科大学分子生物学教室
2徳島大学工学部生物反応工学教室
pp.81-87
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901173
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一つの受精卵から複雑な形態を持つ多細胞生物は,どのようにつくられていくのだろうか。形態形成のメカニズムがさまざまなモデル動物で調べられてきている。中でもショウジョウバエの研究の歴史は古く,形態異常を示す数多くの変異体が同定されている。その中には,頭部の触覚が脚に置き換わったAntennapedia変異体や,平行棍が翅に置き換わり4枚の翅を持つUltrabithorax変異体のように,体の一部が別の部位に置き換わった変異体がある。このような変異をホメオティック変異という。これらの変異の遺伝学的解析から,翅や触覚などの体節の特徴を決定する遺伝子が染色体上にかたまって存在することがわかり,Antennapediaに連関する遺伝子群をAntennapedia complex(ANT-C),Ultrabithoraxに連関する遺伝子群をbithorax complex(BX-C)と呼ぶ。ANT-CとBX-Cを総称してホメオティック複合体(HOM-C)と呼ぶ。これらの遺伝子群が単離され,構造が解析されると,そのコードするタンパク質には類似した60アミノ酸残基からなる配列が保存されていた。この領域をホメオドメインと呼び,それをコードする180塩基対からなるDNA領域をホメオボックスと呼ぶ。
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