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特集 発生・分化とホメオボックス遺伝子
ショウジョウバエホメオボックス遺伝子の進化
Evolution of homeobox gene in Drosophila
松尾 義則
1
Yoshinori Matsuo
1
1徳島大学総合科学部自然システム学科
pp.534-541
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901657
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ショウジョウバエは遺伝学の研究材料としては特に優れており,多数の突然変異体やマーカーがあること,交配実験が容易であること,世代時間が短いこと,大きな唾腺染色体をもつこと,トランスポゾンを介しての遺伝子導入およびクローニングが可能なことなどの利点を持っている。そのため遺伝的な解析において特に威力を発揮する研究材料である。ホメオボックス遺伝子もキイロショウジョウバエで最初に発見された例であり,ショウジョウバエで得られた情報を生かし,ヒトを含めたほかの生物でもホメオボックス遺伝子の構造,機能・発現などの研究が盛んに進められている1,2)。ホメオボックス遺伝子は発生・形態形成に関与する遺伝子なので発生学の分野で研究が行われているのはもちろんのこと,“形態・表現型の進化”にもつながるため進化学の分野においても研究されるようになってきている3-5)。今では“Evo-Devo”という進化学と発生学が融合したような言葉や分野が聞かれるようになった。Science誌上でも“最初にどちらを学ぶべきか。進化学が先のほうがよいのか,発生学が先のほうがよいのか”という議論がなされている6)。
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