書評
『骨外傷の画像診断ハンドブック』
松下 隆
1
1帝京大学医学部整形外科
pp.630
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102391
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今のような臨床研修制度が始まる前は多くの大学で,国家試験合格後すぐに大学の整形外科教室に入局し,いわゆるon the job trainingのなかで骨外傷の画像診断能力を身につけていた.今の臨床研修制度の下では,整形外科医になる前から救急外来やERで研修を受けることが多く,症例を前にして「折れているのか,折れていないのか」という判断を下さなければならない機会が増えていると思う.そのような研修医にとって,骨外傷に詳しい放射線科医が書いた本書はまさに福音書となるであろう.
序文によると,著者の江原茂先生は,30年前ニューヨークの救急病院で次から次へと送られてくる救急症例の画像を前に整形外科研修医達と議論を重ねる毎日を送っておられたとのことである.そのときにバイブルとしていたのがRobert Schultz著のLanguage of Fracturesという教科書だったとのことで,おそらく江原先生はその教科書の日本語版となることを目指して本書を執筆されたのであろう.厳しい実地訓練を積まれた江原先生だからこそ他書に類のない本書のような優れた教科書を作ることができたのだと思う.
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