書評
『こどもの整形外科疾患の診かた―診断・治療から患者家族への説明まで』
金 郁喆
1
1京府医大大学院・運動器機能再生外科学
pp.239
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102284
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亀ヶ谷真琴先生が編集された『こどもの整形外科疾患の診かた――診断・治療から患者家族への説明まで』は,その制作段階で既に仲間うちで『亀ジャン』と呼ばれていた.この愛称は世界的に有名な小児整形外科の成書『Tachdjian(タヒジャン)』をもじったものである.今日まで日本では小児整形外科疾患を単独に扱った書籍は少なく,多くは整形外科体系の一部門として記載されているにすぎない.そのため,一般整形外科医を対象とした小児整形外科疾患の解説書は少ない.
今日,Evidence Based Medicine(EBM)を基に診療ガイドラインを作成することが推奨され,その方向に小児整形外科も進んでいるが,残念ながら疾患の性格上,成績評価には長期間を要するため,高いエビデンスを持った診断・治療指針はまだみられない.本書は小児整形外科医が日常診療で出会う40の小児整形外科疾患について,遭遇しやすい疾患ごとに,その病態,診断法,治療法の選択および治療時期をチャート形式で記載している.また,実例を挙げその疾患の診断上の留意点,治療の解説,専門医へ紹介するタイミングなどを提示しているため,若い医師や一般整形外科医,開業医にも有用な書籍である.さらに疾患の病態,治療法,予後に関してQ&A形式で記載されている点も明快である.
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