視座
「足腰丈夫で“にこにこ百歳!”」めざす,若返りプロジェクトのキーは?
富田 勝郎
1
1金沢大学附属病院
pp.193-194
発行日 2011年3月25日
Published Date 2011/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101921
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日本という国の約束事により昨年,実年齢の満65歳となり教授職を退職しました.といっても体力,気力ともまだまだ元気あるつもりのせいか「めでたくもあり,めでたくもなし…」という気分です.引き続き大学病院の病院長の立場にいますが,教授職を退いたことで以前より3割だけ心身が軽くなったような気分でしょうか.なにしろ長年,診察・手術・学会を中心に頑張ってきた頭の中はそう簡単に状況変化に順応してはくれません.これまで退職された先生方が異口同音に「診察・学会こそが楽しみ」と言われていた気持ちが今はよくわかります.私もそのような機会を大切にしていますが,それはそれとして,第一線を退いた整形外科医としてふさわしい目標を立てようと考えました.その結果が上記タイトルのテーマです.本誌の編集室から「日頃感じたことを自由,気楽にお書きください」とあるのに甘えて,このテーマに辿り着いた思考経路を説明させていただきますと….
そもそも健康長寿は有史以来,万人の願いだ.戦国武士時代の“人間わずか50年”は遠い昔話としても,かつて100歳を迎えた“きんさん・ぎんさん”が物珍しくて日本のビッグニュースとなったのは18年前,もう二昔も前の話だ.二人とも何の憂いもなさそうなにこにこ顔だったのが印象的だ.それが今や平均寿命85歳前後の時代.先日の厚労省の調査では,今年の100歳以上の高齢者は全国で過去最多の44,449人と急増しているという.そういえばわが大学病院にも100歳で入院手術を受けた人がいた.地方の病院では100歳の骨折手術もそうめずらしくはなくなってきているらしい….
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