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シンポジウム 整形外科医療におけるリスクマネジメント
輸血をめぐるリスクマネジメント―87件の輸血関連事例からの考察
Risk Management of Blood Transfusion Based on 87 Reports on Transfusion-Related Problems
田崎 哲典
1
Tetsunori Tasaki
1
1岩手医科大学臨床検査医学
1Department of Clinical Pathology, Iwate Medical University
キーワード:
blood transfusion
,
輸血
,
risk management
,
リスクマネジメント
,
informed consent
,
インフォームド・コンセント
Keyword:
blood transfusion
,
輸血
,
risk management
,
リスクマネジメント
,
informed consent
,
インフォームド・コンセント
pp.1253-1258
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100829
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抄録:生物由来製剤である輸血用血液には様々な不可避的副作用が潜んでいる.輸血はリスク以上にベネフィットが優ると判断され,かつ患者の同意を得て行われる.一方,輸血を準備・実施する過程で生ずる人為的ミスは回避可能なリスクである.当院の過去3年間の輸血関連インシデント・アクシデントからは,その約70%が血液型誤記などのいわゆる事務的エラーであり,確認不足,思い込み,自己判断の誤りなどが原因であった.当事者としては実際の輸血に携わる機会の多い看護師が約40%で,病棟で発生していた.発生時間帯に関し,異型輸血の場合は人手薄の定時外・緊急時に多いとの報告があるが,今回の事例では過半数が日勤帯で発生していた.「ヒトは過ちを犯す」ことを前提に,最近は輸血検査の自動化,バーコード照合システムの導入などが叫ばれているが,先ずは検査技師による24時間体制の確立が望まれる.実際の輸血に際しては輸血に内在する問題を認識し適正な輸血療法に心がけること,インフォームド・コンセントを実施すること,声を出し合い複数人で確認すること,一患者ごとの輸血,輸血後5/15分観察などの基本が重要である.
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