専門分野/この1年の進歩
日本股関節学会―この1年の進歩
松野 丈夫
1
1旭川医大整形外科
pp.912-915
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100755
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本学会は,第1~17回が研究会として,第18回からは学会として開催され,そして2002年9月に第29回学術集会が札幌で開催された.近年の本学会の発表演題の特徴としては,以前とくらべると人工股関節関連(臨床および基礎)のものが多くを占めるようになってきていることが挙げられる.その理由として, ・各種骨切り術の適応がある程度明確となり,安定した成績が得られるようになってきたことから骨切り術に関しての演題が若干減少傾向にあること,
・各種人工股関節の中期成績を出せる時期にきていること,
・再置換術の手術方法に議論すべき問題点が多いこと,
・基礎的には人工股関節の弛みの原因がいまだわかっていないこと,
などが挙げられる.これも時代の趨勢かと思われる.
今回の学術集会ではそのような趨勢の中であえて人工股関節関連の演題をメインテーマとはせず,シンポジウムのテーマとして,「股関節外科治療の成績を左右する手技のポイント」,「股関節手術における術前・術後のリハビリテーション」,「股関節周囲悪性腫瘍に対する患肢温存手術」,「画像診断・病理診断に難渋した症例」の4つをテーマにした.その他の特別講演としては,寝たきり老人の問題を含めた高齢者の譫妄関連の講演,股関節手術のクリティカルパスの問題などをお願いした.これらの中からいくつかのテーマを取り上げてみることにする.
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