早期診断で治療しえた特発性食道破裂の1例—特に画像診断と術式の選択を加えて

A case report of spontaneous rupture of the esophagus with early diagnosis and successful treatment:with a special reference to the preoperative diagnostic method and selection of the operation method

はじめに

　特発性食道破裂はBoerhaave症候群^1）とも呼ばれ，飲酒後の嘔気，嘔吐などの食道内圧の急激な上昇を契機として正常食道全層が破裂する疾患である^2）．本症は比較的稀な疾患であるため，診断が遅れ重篤な事態に至るケースが多い^2）．最近筆者らは発症後早期に胸部単純X線（以下，胸部X線）およびCT検査で本症と診断し，手術で短期間に治癒させた特発性食道破裂の1例を経験した．そこで今回，術前の画像診断と術式の選択について文献的考察を加えて検討したので報告する．