特集 輸液:その組成・アクセス・管理
病態に応じた輸液—(6)高カルシウム血症の場合
川浦 幸光
1
Yukimitsu KAWAURA
1
1石川県済生会金沢病院外科
キーワード:
高カルシウム血症
,
悪性腫瘍随伴高カルシウム血症
,
ビスフォスフォネート製剤
Keyword:
高カルシウム血症
,
悪性腫瘍随伴高カルシウム血症
,
ビスフォスフォネート製剤
pp.586-588
発行日 2000年5月20日
Published Date 2000/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904102
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カルシウムの調節
血清カルシウム(Ca)濃度の維持は3つの調節機構による.骨でのCaの吸収と放出,腎尿細管でのCa再吸収および小腸でのCa吸収である.おのおのの相互作用により血清Caはほぼ一定値に維持されている.骨から血中へCaが放出されるのは骨でのCa吸収が亢進したときである.小腸でのCa吸収が亢進するのはビタミンD活性が亢進したときである.腎尿細管でのCa再吸収の亢進は脱水,腎血流量低下に加え,副甲状腺ホルモン(PTH)やPTH関連ペプチドが増加したときである.PTHは腎遠位尿細管でのCa再吸収を促進するのみならず骨でのCa吸収を亢進させるホルモンである.さらにPTHは腎近位尿細管において1α水酸化酵素活性を亢進させ,その結果,1.25(OH2)ビタミンDが生成され,これがCaとリンの小腸での吸収を促進させる1).したがってPTHの過剰,ビタミンDの過剰,骨吸収の亢進,腎尿細管でのCa再吸収により高Ca血症が出現する.
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