特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
5.胃
十二指腸部分切除後の手縫いによる十二指腸—空腸吻合
今野 弘之
1
,
鈴木 昌八
1
,
中村 達
1
Hiroyuki KONNO
1
1浜松医科大学第2外科
pp.209-210
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903373
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はじめに
十二指腸の部分切除が行われるのは粘膜下腫瘍,カルチノイドなどの摘出,大腸癌,胆嚢癌の十二指腸浸潤,胆嚢十二指腸瘻,外傷性損傷などの場合である.実際には径2〜3cmにわたって切除した場合でも,十二指腸を十分脱転することにより,縫合閉鎖することが可能である.したがって,十二指腸部分切除後の十二指腸—空腸吻合の適応は腫瘍浸潤や炎症の波及のため,かなり広範囲に切除をしなければならない場合など,きわめて限られている.
十二指腸も空腸も血行はきわめて良好であり,他の消化管吻合に比し十二指腸—空腸吻合による縫合不全は発生しにくい.しかし,ひとたび十二指腸の縫合不全が発生すると,きわめて重篤な状態に陥る可能性が高いため,細心の注意を払って吻合をする必要がある.
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