特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅷ.四肢・皮膚
104.爪囲炎
岡 博史
1
,
原 文雄
1
Hiroshi OKA
1
1守口敬任会病院
pp.274-276
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902981
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疾患の概念と診断
指尖部の炎症は日常診療でよく遭遇するありふれた疾患である.瘭疽(felon)も爪囲炎(parony-chia)も一般臨床上はほぼ同義語化しているが,厳密に言えば,爪囲炎は炎症が爪周囲に限局し,掌側の指髄腔にまで及んでいない病態と定義される(図1).爪囲炎は深爪,陥入爪を含む爪溝の小外傷やささくれ,靴ずれ,皮膚炎などに伴って起こりやすい.具体例として,マニキュアや美容上爪半月を大きく見せるため後爪廓を後退させる処置,指尖部に小外傷を受けやすい農林土木園芸業や水産加工業,格闘技,球技に起因する感染などがある.慢性化している場合は,真菌症も疑い検査する.問診時には,発病時期,疼痛の推移,誘因,外傷があれば受傷機転,職業,生活習慣,糖尿病などの全身合併症の有無の確認が必要である.
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