特集 癌の外科治療とインフォームド・コンセント(IC)
病状の説明と手術のインフォームド・コンセント
田島 知郎
1
1東海大学医学部外科II
pp.1091-1094
発行日 1994年9月20日
Published Date 1994/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901620
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
「変わる医師患者関係」「医師が変わる,患者が変わる」などのタイトルが総合医療雑誌のインフォームド・コンセント関連の特集に目立って使われているが,これに違和感を覚えるのは私だけではないと思う.確かに,消費者としての情報を求めるようになった患者側が自己決定権を行使することに対して異議を唱える医療者は以前よりも減りつつあり,医療父権主義(medical paternal-ism)から患者主権主義(patient sovereignty)という形への変貌が起こっているのは事実であるが1),こと医療の人間関係については,それが互いの信頼と医師側の強い使命感と倫理観とを基盤に構築される,という本質にいささかも変わりがないはずである.
本稿ではこのあたりも含めて,外科診療における病状説明とインフォームド・コンセントとを総論的に考えてみたい.なお,個々の問題について,広くバイオエシックスの立場から考える習慣をつけることも大切と思うが,今回は話しをそこまでは広げないことにする.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.