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生体部分肝移植の経験—その1
Partial liver transplantation from a living donor
石曽根 新八
1
,
幕内 雅敏
1
,
川崎 誠治
1
,
松波 英寿
1
,
野口 徹
1
,
北原 修一郎
1
,
河原崎 秀雄
2
,
岩中 督
2
,
鎌田 直司
3
,
高山 忠利
4
Sinpachi ISHIZONE
1
1信州大学医学部第1外科
2東京大学医学部小児外科
3国立小児医療研究センター実験外科
4国立がんセンター外科
pp.483-488
発行日 1991年4月20日
Published Date 1991/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900419
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はじめに
近年,日本でも末期の肝硬変症をはじめとした,保存的な治療では回復し得ない重篤な肝疾患の最終的な治療法として,肝移植が考慮されるようになってきた.特に,胆道閉鎖症の子供達が海外で肝移植を受けるようになって,更に注目を集めている.欧米では,成人と同様に小児でも,脳死者からの同所性肝移植が,すでに確立された治療法として行われている.小児に対する肝移植は,1984年,H.Bismuth1)が脳死肝の肝切除によりCouinaudの1-3区域を同所性に移植した報告以来,脳死肝から必要な大きさの移植片を切除して用いられるようになった.
生体ではじめて部分肝移植を応用したのは,1988年12月,S.Raiaら2)のブラジルの移植チームである.その後,日本では島根医大,京都大学で実施された.死体からの肝移植は欧米において日常的に行われている診療行為で,臨床的安全性が確立された手技と評価されており,その手技をいかに正しく確実に実施するかが問題となっている.
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