FOCUS
「GIST診療ガイドライン第4版」の要点
長 晴彦
1
,
原 健太朗
1
Haruhiko CHO
1
1東京都立駒込病院外科
pp.1243-1246
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213867
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はじめに
消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)は疫学的には10万人当たり年間数人が罹患する希少がんとして扱われる.一方,胃癌で全摘した胃を5 mm幅で全割して病理学的に検索した研究で,術前には診断されなかった小GISTが全体の35%に偶発的に存在したという報告1)もあり,疾患自体の母数ははるかに多いと考えられる.それゆえ,内視鏡の検診が普及したわが国では,臨床医が日常臨床で比較的出合う機会の多い疾患でもある.
GIST診療ガイドラインは,2008年に初版が刊行され,その後は実臨床に大きな影響を与えるエビデンスが出るタイミングに合わせて改訂を行ってきた.今回の第4版はエビデンス先行ではなく,Minds診療ガイドライン作成マニュアルに準拠し,作成の手順から透明性の高いガイドラインを作成することを目的とし,改訂作業に着手した.途中COVID pandemicに見舞われ,作業開始から完成まで5年の年月を要したが,その間作成委員で慎重に議論を重ね,多数のclinical question(CQ)のなかから特に実臨床に役立つであろうものに絞り込み,それらに対し推奨決定と解説文の作成を行った.
本稿では外科領域を中心に,GIST診療ガイドライン第4版2)について概説する.
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