増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画
7.胆・膵
膵頭十二指腸切除術
長井 美奈子
1
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中川 顕志
1
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西和田 敏
1
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寺井 太一
1
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北東 大督
1
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安田 里司
1
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吉川 高宏
1
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松尾 泰子
1
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庄 雅之
1
Minako NAGAI
1
1奈良県立医科大学消化器・総合外科
キーワード:
膵頭十二指腸切除術
,
膵空腸吻合
,
conventional approach
Keyword:
膵頭十二指腸切除術
,
膵空腸吻合
,
conventional approach
pp.249-257
発行日 2021年10月22日
Published Date 2021/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213515
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Step1 開腹,大網切開
上腹部正中切開で開腹する.肝円索は通常,患者右側で腹膜を切開し,常時切離せずに温存している.悪性疾患の場合は,小開腹にて,腹膜,小腸間膜,肝を精査し,非切除因子の有無を入念に検索する.非切除因子がないことを確認できれば,創を剣状突起から臍付近まで延長させる.創感染防止および開創目的にAlexis®ウーンドリトラクター(Applied Medical)を装着し,Kent式吊り上げ開腹鉤で術野の展開を図る.肝円索を温存しているとウーンドリトラクターを装着した際に,自然と肝臓が頭側に牽引され,肝臓鉤による肝の牽引が不要となる.ただし,肝円索温存により肝臓に過度な圧排や負担がかかる場合には,円索は切離したほうが安全である.
第一助手に胃を頭側に挙上,第二助手には横行結腸を尾側方向に牽引してもらい,大網を切開し,網囊を開放する(図1).大網切離時は右胃大網動静脈に近づき過ぎないように留意し,右胃大網動静脈の外側を切開する.膵前面が十分に確認できる程度まで,大網を患者左側に切開を進めておく.右側は胃結腸間膜後葉と横行結腸間膜前葉とが生理的癒着をしているため,層を確認しながら胃結腸間膜を切開し,十二指腸壁近傍まで進めておく.膵下縁を慎重に剝離し,上腸間膜静脈(SMV)の前面を確認しておく.SMVに流入する静脈を慎重に剝離して,胃結腸静脈幹(GCT)を確認し,過度な緊張がかかることが危惧される症例などの場合には,GCTに流入する右胃大網静脈をこの時点で結紮切離する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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