書評
—金谷誠一郎(監修) 赤川 進,三浦 晋(編)—大阪日赤ラパロ教室—イラストで学ぶ腹腔鏡下胃切除[DVD付]
坂井 義治
1
1京都大学消化管外科学
pp.192
発行日 2019年2月20日
Published Date 2019/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212374
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金谷誠一郎先生とのつきあいは30年になる.手術に「美(Art)」を求める真摯な姿勢は一貫して変わることがない.その背景には,質の高い手術には誰もが感嘆する「美」があり,「美」を有する手術こそ合併症が少なく,外科医が患者に還元できる最高の医療であるとの信念がある.彼の「美」は科学的,あるいは理論的な「技」に立脚する.解剖学/生理学を理解した上でのデルタ吻合の創始,組織損傷をより少なく効率的な剝離・切離を可能にした器機開発からもうかがえる.
そして癌の根治性を失うことのない合理的な操作手順と,無駄のない術者および的確な指示に呼応する助手の動き,コンサートマスターであり指揮者でもある金谷手術の美しさは本書に添付されたDVDで堪能できる.惜しむらくは現場の録音音声がないことか.これがあれば彼の人間力もさらに理解してもらえたであろうに.
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