増刊号 消化器・一般外科手術のPearls&Tips—ワンランク上の手術を達成する技と知恵
⑦肝切除術
開腹区域切除
杉岡 篤
1
,
加藤 悠太郎
1
,
香川 幹
1
,
竹浦 千夏
1
,
辻 昭一郎
1
,
所 隆昌
1
,
棚橋 義直
1
Atsushi SUGIOKA
1
1藤田保健衛生大学肝・脾外科
pp.152-164
発行日 2015年10月22日
Published Date 2015/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210948
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Glisson鞘に対するアプローチ法のバリエーション
肝区域切除は,葉切除と同様に概念としては確立された肝切除術式であるが,その手技はいまだ標準化されているとは言いがたい.その理由は,肝区域切除を行ううえで必須の手技であるGlisson鞘一括処理や主肝静脈剝離・露出の手技が標準化されていないためである.
Couinaudは,Glisson鞘に対するアプローチ法として,「鞘内到達法(intrafascial approach)」「鞘外到達法(extrafascial approach)」「鞘外および裂開放法(extrafascial and transfissural approach)」を提唱した1).「鞘内到達法」はいわゆる脈管個別処理法のことであり,「鞘外到達法」がGlisson鞘一括確保法である.「鞘外および裂開放法」とは,主門脈裂あるいは左門脈裂に沿った比較的大きな肝実質切離を先行したうえでGlisson鞘を一括確保する方法である.「鞘外到達法」は,さらに肝実質破壊を伴う肝内法と,伴わない肝外法に分けられ,「鞘外および裂開放法」は肝内法に含まれる.
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