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特集 鼠径・大腿ヘルニアの話題
小児鼠径ヘルニア
単純高位結紮切断—内鼠径輪縫縮をめぐつて
The rationale of high ligation in childhood external inguinal hernia repair
梶本 照穂
1
Teruho KAJIMOTO
1
1金沢医科大学小児外科
pp.987-991
発行日 1983年7月20日
Published Date 1983/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208373
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術式の移りかわり
外鼠径ヘルニア(以下,鼠径ヘルニア)が成立するには,小児に限つて言えば,胎生時に伸長してきた腹膜鞘状突起が開存したままで残つていることが前提となることは,すでに疑いをはさむ余地がない.そしてこの発生病理に適合した術式である単純高位結紮法が日本で採用され始めたのは,近々20年ばかり前のことでしかない.その術式は普及し,優秀性が国内で次第に知られるようになつたが,それは日本小児外科学会の力に負うところが大きい.
図1は,日本の主要小児外科施設(1964年度は外科施設)に小児の鼠径ヘルニアにどの術式を常用しているかをアンケートでたずねた結果をまとめてみたものである1-3).日本で採用されている主要ないくつかの術式が年を追つて消長するさまは,大変興味深い.そのなかでもつとも目につくのは,Bassini法の著しい没落(しかしそれでも0にはなつていない)と単純高位結紮法(Lucas—championniere法,Potts法)の急成長の2点である.次いで注目されるのが,波多腰法の消長で,1972度には2割の施設で採用されていたものが1979年度は1割に減つてしまつた.これには内輪縫縮法も含められている.このようにして高位結紮法はようやく過半数の52%の採用率となり,主流的術式とはなつたが,残るおよそ半数の施設は,依然としてそれ以外の術式で行つていることに着目したい.
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