特集 外科外来マニュアル
私の治療
上肢・下肢
手掌切開法
若林 利重
1
1東京警察病院外科
pp.702-703
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207993
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□概説
手掌の解剖学的関係の把握が大切である.示指,中指,環指の腱鞘は中手指関節の高さで終り母指と小指の腱鞘は手根部にまでおよぶ.拇指の腱鞘は橈側滑液嚢に,小指の腱鞘は尺側滑液嚢に移行し,これらは手根部で互に交通する.したがつて拇指の腱鞘の感染は小指の腱鞘にも波及しやすいし,また小指の腱鞘の感染は拇指の腱鞘にもおよびやすい.示指,中指,環指の腱鞘の炎症はそれぞれの腱鞘の範囲内にとどまることが多いが示指のものは拇指球腔へ,中指,環指のものは中手掌腔へとそれぞれ筋膜腔へ波及することがある(図1).腱鞘の炎症が手掌へおよんだときには,まず安静,抗生物質,湿布など保存的療法を行い,炎症が限局し膿瘍を形成してきたら切開排膿を行う.
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